ここにしか置いてないもの。雑貨屋C&MILLS



飲食店や手作り雑貨、アパレル、アンティークショップなどで賑わう、築50年のビルをリノベーションした北九州市・小倉北区魚町の商店街にあるビル「メルカート三番街」。テナント内10坪のスペースに雑貨屋「C&MILLS」はあります。

代表の中山千明さんは大学に在籍中にお店をオープンさせました。

置いてある雑貨は、お祝いや表彰の際に贈られる”ロゼット”、中山さんが絵を描いたマリリン・モンローやオードリー・ヘプバーンなど世界の有名な人達を描いたプラバンのブローチ、タッセルを使ったアクセサリー、ハンドメイド作品のほか、ヨーロッパで買い付けた商品があります。

就職活動をやめ、自ら雑貨屋を開くきっかけになったのはなんなのか?そこから開店するまでにどのような過程があったのか。そこには、中山さんの「自分のやりたいことをやる」という情熱と、夢を実現させる行動力にありました。

 

イギリスに語学留学へ

 

-高校生の頃から雑貨屋を開こうと思っていたのですか?

中山 : 高校二年生までは、海外にでたいというのがありました。そのときファッションが好きだったので、ファッションデザイナーがいいなと漠然と考えていました。ニューヨークにあるファッション専門大学があって、そのことを、高校の進路アンケートで書いたら、先生とかに「真面目に書きなさい」とか言われたりしましたね。(笑) そこから色々考え、北九州市立大学の体験キャンパスにいきました。そこで、経済学部にいる教授がイギリス文化や留学の話しなどを説明していて、海外にいけるというなら北九大に行こうと思いました。経済学部に入るのも、将来的にビジネスに役立つかなと思っていました。

 

-入学してすぐにイギリスへ留学に行ったのですか?

中山 : 自分の中で入学時に計画を立てていて、1,2年の間に単位をとって、自分が戻ってきたときに楽な状況にしようと思っていました。私は留学というより、イギリスで働きたかったので、ずっとワーキングホリデーの準備をしていてました。ちょうど私がワーホリのビザをとろうとしたときに選考方法が変わって、準備してきたものが全部意味がなくなってしまいました。ランダム抽選になり、メールを送るだけになって、ばっと切られちゃって。

 

そのときは自分のやりたいことが全部ダメになって、落ち込みましたね。そこで学生ビザ取得して、大学3年生のときに、9月から出発して約11か月間語学学校で英語の勉強をしていました。そのときに、英語の勉強だけだともったいないと思っていたので、何かの役に立つだろうと思って書道の一式を持っていきました。

 

留学先のオックスフォードの中に地元の学生と観光客で賑わうカフェや雑貨屋があるのですが、はじめて行ったカフェの店主と仲良くなって、「書道ができる」っていったら看板描いてよと言われました。そういう出会いから、カフェ巡り好きが高じて、カフェの店主にインタビューした記事を、友人と共にブログにアップしていました。そこから、経営者の話を聞いたり、ショップやマーケットに行ったりして過ごしていましたね。

 

とにかく至る所で人に話す。

 

c&mills004小倉駅からもアクセスがよい「メルカート三番街」。テナント内では飲食店やアパレルなどが軒並んでいる。

 

-その時から、自分が雑貨屋を開く視点で回っていたのですか?

中山 : 根っこにあるのは、本当に好きだからですね。こんなのが開けたらいいなという憧れはありました。あとイギリスの他にもいろんな国に行って、この国に置いてある雑貨を他の人が日本に持ってきてたら悔しいなとは思っていました。

 

-留学先のオックスフォードにいたときもどこか旅行に行っていたりしたのですか?

中山 : 友達と行くこともありましたけど、一人で行くこともありました。イギリス国内でも、北のスコットランドや、リヴァプールなども行ったりしました。ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、オーストリアとか。雑貨屋ばっかみてました。

 

-ものすごい数の雑貨屋を見たのですね。

中山 : 時々メジャーな観光地もいきましたが、自分が興味のあるのはカフェや雑貨屋だったりしたので、そこを中心にまわっていましたね。あとはギャラリーや美術館をまわったり。

 

-留学から戻ってきてそこからどうしたのですか?

中山 : イギリスにいる間に自分のやりたい仕事を予め決めていこうと思っていたのですが、自分の興味ある範囲で動いていたので、そういうことも考えずに、日本に戻ってきたときに普通に企業に就職しなきゃと思ってました。

 

-それは周りの人が就職活動をやっていたからという不安もあったからですか?

中山 :  それはありますね。準備してきた人たちはすぐにしていたので、私もすぐに合同説明会を行ったりしました。当時は自分のやりたいことと、いまやっていることのギャップが大きすぎるなと感じていてました。就職活動するけど、他に自分でなんかやりたいなと思い、九州に住んでいることもあって、焼き物や素晴らしい工芸品をいかして何かビジネスできないかなと考えました。

思いついた時に、大学のゼミの教授に相談して、私はこうやりたいと伝えて、親にも相談して、焼き物を作っている窯元にもいって、「私はこういうことしたいんですけど、どう思いますか?」とか聞いたりしましたね。

 

-そしたらどんな反応がかえってきましたか?

中山 :  うまくいくかどうかはわからないけど、いいんじゃないと。窯元の人のお話で、その人も周りが就職しているときに鹿児島に修行に行って、周りの人がいい意味でも悪い意味でも、「おまえほんと楽しそうだな」と言われたそうです。「その当時は楽しかったのですか」と私が聞くと、「楽しくて仕方がなかったよ。好きな事やってんだぞ。」っていう返事がきました。

 

-それを聞いて思うことはあったのですか?

中山 :  自分のやりたいことをやっていいんだなと。就職しなきゃいけないという思いと自分のやりたいことをやりたいという思いもあって悩んでました。留学もさせてもらったわけだから、親に対してかえしていきたいものとかもあったので、自分で何かやろうと思った時に、それを返せるのかとかもやもやしてました。とりあえず、いま自分がやりたいことをやろうと思って、とにかく至る所で人に話していました。

 

その当時は、自分のやっていることに対してやってもいいんだよという安心感がほしかったのかもしれません。運良く反対する人もいなかったので、やっちゃおうと思って。そのときは就職活動も続けながら、出会いの場に行ったり、マーケットに出店して自分で作った雑貨を売ったりしてました。

 

自分がそのときに「良いもの」を紹介するというブログをやっていて、日本の工芸品をのせたり、海外で出会った器や文房具を載せていました。まずブログをやっているということを知ってもらわないと、多くの方に見てもらえないので、ショップカードにブログのURLを載せて配っていました。そういう活動から、「リノベーションスクール」というイベントに出た際に、「魚町サンロード商店街 よりみち市」を紹介してもらって、そこでこの出店者募集の話を聞きました。

 

その時は、考えときますと伝えました。その時に、選考待ちの企業があって、一番いきたい企業からお祈りメールがきたら、全部やめて一つに打ち込もうと思っていて。お祈りメールがきて、私は就活をやめてここに打ち込もうと決心しましたね。

 

-その時に、悔しさよりやりたいことに専念できる喜びの方があったのですか?

中山 :  すがすがしかったですね。(笑) 自分のやりたいこともやって、就活もやっていたときは、どっちも中途半端になってる気がして、早くどっちかに絞れないかなと考えていたので。就職のほうが安定してるんだけど、せっかく自分がやりたいことのチャンスを逃したことに後々後悔することになるだろうなと思って。悩んでいるときにそこで線引きをしました。

 

ここにしか置いていないものを選んでいく。

 

c&mills003
中山さん自らが作るプラバンのブローチは、世界中の著名人たちをモチーフにしている。

 

-開店当初どういった雑貨をおくというのはきめていたのですか?

中山 : まず自分の作った雑貨と、文房具というのはありました。文房具というのは、ロフトとか行ったらなんでもあるじゃないですか。だから、あんまり人目に触れていない文房具を、置きたいというのがありました。自分のセレクトとしては、ここにしか置いていないものを選んでいきたいです。

 

-自分で作っていた雑貨とはどういったものなのですか?

中山 : ロゼットやプラバンのブローチとかですね。作ったきっかけというのが、友達への卒業お祝いでロゼットをつくろうと思って、作り始めるうちに楽しくなって、もっと作りたいというふうに思うようになりました。そこからマーケットで売りたいと思い、買い付けのため一ヶ月間イギリスへ行きました。そこで、イギリスで出会った友達と二人でマーケットを巡って、手伝ってもらったりしました。自分で作った小倉織のロゼットもイギリスで売りたかったので、ショップに行ったりモダンアートの美術館に直接持って行ったり。

 

今まで出会った人とのつながりがもてる場作りへ。

 

c&mills002
九州でここでしか販売していない雑貨も多数置いてある。

 

-その時に買い付けの方法とかわからずに行っていたってことですよね?

中山 : そうですね。でも自分の中で仕入れたい商品やお店はあったので、直前にメールを送っていて、返ってこなかったから、これは直接自分でいこうと思って。(笑) ただ単に楽しんでいるのもあるんですけどね。もし私が反対の立場だったら、どんな雰囲気のお店に自分の商品が置かれることになるのかわからないのに、「はい、いいですよ」と置かせてもらえるのかなと思って。そこで、作り手さんに直接会って、話をして頼もうと思い直しました。その人に直接会って、頼むのが礼儀なのかなと。根拠のない自信があって、何かしらコンタクトはとれるとは思っていました。

 

買い付けのため展示会に行ったときは、400ぐらいのブースがあっておもしろかったのですが、置いているものは知っているものや似ているようなものだったり、ここで買い付けたいとは思いませんでした。そういうとこで買い付けするより、自分は直接お店に行って、お話しを聞いて、お客さんに直接そういうことを伝えたいという気持ちもあったので。だから、自分にはこっちのほうがあっているなと思い、展示会にいくのは辞めようと。

 

-そこまで行動できるモチベーションの源は何なのでしょうか?

中山 : ただ自分のやりたいことをやりたいということだけですね。

 

-最後に、これからのビジョンを教えてください。

中山 : ビッコロ三番街の目的が起業支援だから、ここを飛び出して、もっと大きい店舗をだして、仕入れ先を増やしていこうと思っています。よりフットワーク軽くいきたいなと。イベントにでたり、イベントを作っていくということもしていきたいです。自分で見てきたものを、自分の中にとどめていくのがもったいないから、自分が今まで出会った人とのつながりがもてる場作りを、イベントを通して作っていければなと考えております。

(聞き手・文/小野義明 写真/小田雄大)

 

    C&MILLS
    住所 : 福岡県北九州市小倉北区魚町3丁目3−20 中屋ビル1階 メルカート三番街内
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    http://candmills.com
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ono yoshiaki
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Writer

web designer / engineer 大学在学中より、”体験した物語を伝える観光ガイドを作りたく起業し、TRIP OFFを運営しています。 今年の夏よりドローンによる空撮に挑戦。 http://tahito.jp http://onoyoshiaki.com

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