昭和初期からフィルム映画を上映し続けている北九州の映画館



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福岡県北九州市小倉北区旦過にある北九州の台所と呼ばれている『旦過市場』。
鮮魚・青果・精肉など扱う店や日本初24時間営業をはじめた『スーパー丸和』など、200店舗以上が軒を連ねております。

 

そんな『旦過市場』付近に、昭和初期からフィルム映画を上映し続けている創業76年の映画館『小倉昭和館』があります。

 

「昭和館1」「昭和館2」の2館からなり、1号館では270席、2号館では100席。それぞれの作品にあうスクリーンで上映し、2本立て1,100円という金額で映画を楽しめます。

 

デジタル放映が主流の中なぜ創業当初からフィルム上映にこだわり、そこに至るまでにどのような軌跡があったのか。
様々な企画の背景にはどのような思いが込められているのか。
そんな想いを小倉昭和館・3代目館主 樋口智巳さんにお話をお聞きしました。

 

人々の喜ぶ顔を見るのが好きではじめた映画館

syouwakan05ネオンサインの看板が目印の『小倉昭和館』

 

− 小倉昭和館三代目に戻ろうとした時期っていうのはどのあたりになるのですか。

樋口 : 今年で昭和館ができて76周年目なんですが、70周年のイベントの際には女優の有馬稲子さんにお越し頂きました。その時に私がアテンドをさせていただいて、それまでは表立って小倉昭和館の仕事はしてなかったのですが、有馬さんから「あなたががんばらなきゃだめでしょう」という思いがけない言葉をいただきまして。その言葉が一つのきっかけになり、家業に戻りたいと思い始めました。そして、ご縁があって俳優の高倉健さんから頂いたお手紙が、引き継ぐ決心をさせて下さいました。

 

− お仕事を引き継ぐまでは、映画関係とは全く関係ないお仕事をされていたのですか。

樋口 : 映画とは全く関係なかったですね。『福岡市長区長に提言の会』や『アンビシャス運動』の立ち上げなど、主に企画を考え実行するということをしてきました。その経験が今も役立ってますね。

 

− そういった企画とかを考えるのは好きなのですか。

樋口 : そうですね。祖父も芸事や芝居が好きで、本人も役者として舞台に立ってたこともあるんですけども。何よりも人々の喜ぶ顔を見るのが好きだと始めたのがこの映画館なんですよね。そこは似てるのかなと思います。何か企画して皆様が喜んでくださるととても嬉しくて。

 

昭和館を閉めようと引き継ぐ

 

syouwakan09監督や作家などの舞台挨拶が行われる1号館館内。

 

− そういった引継ぎの話が出た時は、前向きにとらえていたのでしょうか。

樋口 : 前向きにとらえてはいなかったです。初代は何もないところから作り上げ、2代目の父は本当にいい時から悪い時までを知っていて一番大変だったと思います。その父が今まで昭和館を守ってきたので、父の代で閉めさせたくなかったんです。「2代目はがんばったけど、3代目はつまらなかったね」ということで私の代になって閉めようという覚悟で引き受けました。

 

− そこから今日まで活動されているのはなぜなのですか。

樋口 : 高倉健さんの追悼上映のこともそうなのですが、地元の方たちが昭和館を愛してくださっていることを本当に感じました。地元に恩返しの時期でもあると思ったんです。いままで昭和館だけでやってたきものを、もっと皆さんと一緒に手を繋いでやれば、もっともっといろんなことができる。もちろん映画館は映画作品が勝負だと思ってます。だけどもそこにプラスアルファがあることにより、映画の魅力をより伝えることがで出来ると思います。映画の原作者のシネマトーク、監督や出演者の舞台挨拶のイベントなどがそうです。

 

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障害者の自立支援SHOP『一丁目の元気』のお菓子と焙煎世界大会1位の方とともにデジタル導入記念の際に作った『昭和館ブレンド』

 

− 館内入り口には多くの著名人・文化人の色紙がたくさんありますね。

樋口 : はい、ありがたいことに色々な方々に足を運んでいただいております。そういったご縁を大事にして繋いでいくいくのが私の役目だとも思ってるんですね。

 

− 売店に置いてあるものも特徴的ですね。

樋口 : うちは持ち込み自由ですので、旦過市場で買ったお弁当持ってきていただいても大丈夫ですが、売店に置いているものも工夫しています。上映作品の中に出てくるお菓子などを期間限定で販売したり、障害者自立支援SHOP『一丁目の元気』さんとのコラボ菓子や、お土産用のコーヒーも置いています。

 

− 『昭和館ブレンド』ですね。

樋口 : そうです。フランスで行われたコーヒーの焙煎技術を競う世界大会で1位の焙煎士の方に、昭和館をイメージした「昭和館ブレンド」を、デジタル機器を導入した時に記念に作っていただきました。

 

syouwakan07スタッフの方が笑顔で出迎えてくれるチケット売り場。

 

− 小倉昭和館のこれからを教えてください。

樋口 : これからもフィルム上映も大切に守って続けていきます。
古きよいものにこだわりながらも、常に新しいことにも挑戦していきたいと思ってます。
そしてやっぱり、76年この地で愛され育てられてきましたから、皆様に一番身近な映画館として、居心地のいい場所としてがんばっていきたいと思っています。

 

− 最後に一言お願いします。

樋口 : 若い方にも来ていただきたいですね。こんな企画をして欲しいなどのリクエストをお願いします。(笑)
また、それをすぐに実現できるのが昭和館なんですね。上映作品も、皆さんのご意見を取り入れさせていただいて決めています。イベント企画も募集中です。昭和館がこれから何を上映するか、どんなイベントを行うか、どうぞご期待下さい。皆様のご来館をスタッフ一同お待ちしています。

聞き手・文/今道安里紗 、小野 義明 写真/松本 大聖 、小田 雄大

 

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樋口 智巳
昔ながらの町の映画館とも言える「小倉昭和館」3代目館主。
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小倉昭和館
【住所】 〒802-0006 福岡県北九州市小倉北区魚町4−2−9
【駐車場】最寄りのコインパーキングをお使いください。
【交通アクセス】 JR小倉駅南口から南へ徒歩6分
【料金】2本立て(2作品ご覧頂けます)1,100円 ※作品により料金に変更がある場合がございます。
映画の日(毎月1日) 900円
レディースデー(毎週水曜日)女性900円
メンズデ―(毎週木曜日)男性900円
【tel】 093-551-4938
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